「スウェーデン・ナショナルデー」開催レポート

5/14(水)に「スウェーデン・ナショナルデー」を開催。カール16世グスタフ国王陛下ご臨席のもと、ノーベル賞受賞者・山中伸弥教授を迎え、両国が共有するイノベーション・創造力・持続可能性の祭典を実施
デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5か国による共同出展で注目を集める北欧パビリオンでは、2025年5月14日(水)、スウェーデンによるナショナルデー「スウェーデン・ナショナルデー」が盛大に開催されました。北欧5か国の共同出展における各国ナショナルデーの一環として行われたこの日は、55年前の大阪万博にもご臨席されたカール16世グスタフ国王陛下をふたたび会場にお迎えし、日本とスウェーデンの強い友好関係を象徴する特別な1日となりました。
本イベントは、午前の「公式オープニングセレモニー」と午後の「スウェーデン・ビジネス・サミット」を核とし、会場内でのポップアップイベントも含む、イノベーションや両国間の友情・未来へのビジョンを祝う多彩なプログラムが展開されました。
公式オープニングセレモニーとパフォーマンス
午前中にナショナルデーホール「レイガーデン」で開催された公式オープニングセレモニーでは、カール16世グスタフ国王陛下をはじめ、スウェーデン政府代表団や経済界関係者が出席されました。スウェーデンと日本の長年にわたるパートナーシップを改めて称えるとともに、両国が共有する価値観――「持続可能性」「イノベーション」「創造性」――を再確認する場となりました。
カール16世グスタフ国王陛下は「本日、皆様の前で日本とスウェーデンの強い絆についてお話しできることを、大変光栄に思います。両国は1868年に外交関係を樹立し、2018年には150年にわたる協力関係を祝いました。個人的なお話ですが、スウェーデンの王室と日本の皇室は大変近しい関係にあると思います。私は1970年の大阪万博を訪れ、1985 年につくば万博、2005年には皇太子妃が愛知万博を訪問しました。この素晴らしい国際博覧会を主催してくださった日本に、お祝い申し上げます。将来を見据え、両国はパートナーシップのさらなる深化、イノベーションの推進、そして持続可能な成長と相互の繁栄を目指し、新たな機会を創出することに尽力してまいります。」と挨拶されました。
日本政府代表として、2025年日本国際博覧会政府代表 羽田浩二氏からも「両国は自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有するかけがえのないパートナーです。良好な関係の基礎には皇室・王室間の長年に渡る固い絆があります。カール16世グスタフ国王陛下は1970年の大阪万博の訪問をはじめ、何度も訪日され、日本への深いご理解とご関心を寄せてくださっています。
スウェーデンの万博参加に改めて感謝の意を表するとともに、カール16世グスタフ国王陛下のご訪日が実り多きものになることを心よりお祈りして、私のご挨拶とさせていただきます。」との祝辞が述べられました。
セレモニーの締めくくりには、スウェーデンの人気アーティストであるマリン・クリスティン氏と、日本や韓国の大人気グループの楽曲も多く手掛ける世界的プロデューサーのアルビン・ノルドクビスト氏による特別ライブパフォーマンスが披露されました。1曲目にはスウェーデンの民謡「Uti vår hage」、続けて「Everlasting」 (楽曲提供アーティスト:SixTONES) 、「Beyond the Horizon」 (楽曲提供アーティスト:TWICE)、「norn」 (楽曲提供アーティスト Mrs. GREEN APPLE)が披露され、アコースティックセットによる繊細で力強いステージは、日・スウェーデンの絆に華を添える瞬間となりました。
ナショナルデーパレード
式典後には、会場内の「大屋根リング」にてナショナルデーパレードが行われ、スウェーデンの伝統衣装を身にまとったパフォーマーを含む約80名のボランティア参加者が、音楽の生演奏に合わせて北欧パビリオン周辺を練り歩きました。笑顔の万博来場者の皆様に迎えられ、スウェーデンと日本の文化が触れ合う心温まるひとときが広がりました。
大阪・関西万博会場の視察
公式オープニングセレモニーの後は、カール16世グスタフ国王陛下は日本館や北欧パビリオンをはじめとする大阪・関西万博の会場を見学されました。北欧パビリオンでは、スウェーデン王国出身のガイドを含むスタッフが温かく国王陛下を迎え、北欧パビリオンの魅力をご紹介しました。
スウェーデン・ビジネス・サミット:「Pioneer the Possible」
午後には、「スウェーデン・ビジネス・サミット」が開催され、スウェーデンと日本のビジネス界のリーダーたちが集結。テーマ「Pioneer the Possible」のもと、イノベーション、持続可能性、戦略的連携についての講演が行われました。
サミットでは、iPS細胞の発見でノーベル賞を受賞された山中伸弥教授が基調講演を行い、未来を形づくる科学と倫理、国際連携の重要性について力強いメッセージを発信しました。
続いて行われた「パイオニア・プライズ」授賞式では、スウェーデンの中小企業による革新的な取り組みが紹介され、国際開発協力・対外貿易大臣のベンヤミン・ドゥーサ氏より【GreenIron】に賞が手渡されました。鉄鋼産業は脱炭素化が非常に難しい産業と言われていますが、GreenIronは鉄鋼業を脱炭素化する画期的な技術を生み出しました。GreenIronの取り組みはこの賞の背景にあるパイオニア精神を体現しており、グリーンアイアンの受賞は、よりクリーンで革新的な未来への力強い一歩となることでしょう。また、ノーベル賞受賞者の肖像画で知られるスウェーデンのイラストレーター、ニクラス・エルメヘード氏が、サミットが行われている様子をライブドローイングで表現し、創造力が社会的インパクトを生み出すストーリーテリングの力を来場者に伝えました。
大阪・関西会場内に広がったスウェーデンの体験
ナショナルデー当日は終日、会場内の各所でスウェーデンの文化やテクノロジーに触れられるポップアップイベントも実施されました。
・キッズラウンジ(ポップアップステージ東外)では、スウェーデン発の教育的ゲームアプリ「Toca Boca(トッカ・ボッカ)」の体験コーナーでは、多くの子どもたちが想像力を広げながら遊びに夢中になりました。併設された展示では、スウェーデンの児童文化や教育理念も紹介されました。
・ミュージックステージ(ポップアップステージ西)で行われたスウェーデンのテック企業「Teenage Engineering(ティーンエイジ エンジニアリング)」による音楽制作体験では、来場者が実際に機材を操作し、独創的な音の世界を楽しむ機会を提供しました。また、Swedish Institute(スウェディッシュ・インスティテュート)による「Swedish Music Moments」の展示も好評を博しました。
北欧パビリオンの前には、1970年の大阪万博にご臨席された際のカール16世グスタフ国王陛下(当時皇太子)のフォトパネルが展示され、来場者の注目を集めました。この展示は、日本とスウェーデンの長きにわたる友情と交流の歴史を象徴するものであり、国王陛下が55年の時を経て再び大阪の万博の地を訪問されたという記念すべき瞬間を祝うものになりました。
また、1970年および2025年の両大阪万博への参加は、継続的な国際協調姿勢の象徴であり、両国が築いてきた信頼と共創の歴史の厚みを感じさせるものとなりました。展における各国ナショナルデーの一環として行われたこの日は、55年前の大阪万博にもご臨席されたカール16世グスタフ国王陛下をふたたび会場にお迎えし、日本とスウェーデンの強い友好関係を象徴する特別な1日となりました。