Joint Nordic Event 「ライフ・サイエンスデー」を開催しました

2025年6月25日と26日の2日間に渡り、北欧5カ国(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)が共同で開催する「Joint Nordic Event」シリーズのひとつ、「ノルディック・ライフサイエンスデー(Nordic Life Science Day)」を開催しました。
このイベントは、日本と北欧が共に直面する「超高齢社会」「医療人材不足」「慢性疾患対策」「AMR(薬剤耐性)」などの社会的課題に対し、官民学・地域を超えた国際協働の可能性を探ることを目的に企画されたものです。フィンランド健康問題・保健省担当大臣のカイサ・ユーソ氏、デンマーク王国 内務・保健大臣のソフィー・ローデ氏を始めとし、北欧からも政府関係者や企業を招いて、各国の取り組みの紹介やディスカッションが2日に渡って行われました。
北欧から来日した大臣が登壇:「未来への投資」としての国際協力を強調
開会セッションでは、フィンランドのカイサ・ユーソ健康問題・保健省担当大臣と、デンマークのソフィー・ローデ内務・保健大臣が登壇。北欧におけるデジタルヘルスの先進事例、セカンダリーヘルスデータの活用、AMR(薬剤耐性)への対策、部門横断型の医療連携などが紹介されました。
ユーソ大臣は「2030年までに北欧を世界で最も持続可能で統合された地域にする」というビジョンを共有し、日本を含む国際社会とのさらなる連携を呼びかけました。ローデ大臣は、日本と北欧がともに直面する高齢化や医療従事者不足などの課題を挙げ、「私たちは異なる制度を持ちながらも、同じ旅路を歩んでいる」と協力の必要性を強調しました。
官民学・地域連携による実践例が続々紹介
午前のセッションでは、デンマークの予防医療モデルを中心に、官民連携による慢性疾患対策が紹介されました。日本国内におけるデンマーク企業との地域連携(千葉県・岡山県など)も紹介され、自治体主導の取り組みが注目を集めました。
午後のセッションでは、スウェーデン企業によるAIを活用した診断支援や遠隔医療の事例、日本の自治体によるデータヘルスと住民参加型ヘルスケアの推進が取り上げられました。日本と北欧の地域単位での協業に可能性を見出す声も多く上がりました。
「データ」「公平性」「地域医療」など、多角的なテーマで連携模索
2日目には、薬剤耐性(AMR)に関する北欧諸国の共同研究や、ノルウェーによる持続可能なグリーン医療投資についても紹介。北欧の企業や研究者からはスケール可能な医療ソリューションも提示され、官民学の枠を超えた国際協働の意義が改めて強調されました。
北欧パビリオンから世界へ:持続可能な未来社会への貢献
「ノルディック・ライフサイエンスデー」は、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に対し、北欧諸国が静かに、しかし確かな形で貢献する姿を示す場となりました。今後も北欧パビリオンでは、エネルギー、ジェンダー平等、文化などをテーマに、日北間の対話と協力を深めるJoint Nordic Eventを展開していく予定です。
●カイサ・ユーソ大臣(フィンランド):
「デジタル化と革新的ソリューションを通じて、誰もがアクセスできる持続可能な福祉制度の実現を目指していく」
●ソフィー・ローデ大臣(デンマーク):
「医療は単なる制度ではなく、社会のミッション。パートナーシップこそが現実の変化を生む」