NATOデー:イベントレポート

大阪・関西万博の「平和と人権ウィーク」にあわせ、北欧パビリオンにて「NATOデー」を開催しました。本イベントは、創設メンバーのノルウェー、デンマーク、アイスランドに加え、新たに加盟したフィンランド(2023年)とスウェーデン(2024年)の北欧5か国が揃って参加し、日本とNATOの連携、そして次世代の平和と安全保障をテーマにしたカンファレンスとなりました。
Day 1: グローバルな安全保障と新たな脅威
初日は、フレイン・パウルソン駐日アイスランド大使とオヴィディウ・アレクサンドル・ラエツキ駐日ルーマニア大使による開会挨拶で幕を開けました。
続いて「現代の国際システムにおける平和と安全保障」では、NATO本部のニコス・ルータス副次官補代理が「NATOの歴史、現在、未来」について基調講演を行い、外務省欧州局の田口精一郎審議官が日本とNATOの協力関係を語りました。
パネルディスカッションでは、「女性・平和・安全保障(WPS)」をテーマに、駐日ノルウェー大使クリスティン・イグルム氏や日本防衛省・国土交通省の代表、オスロ平和研究所のルイーズ・オルソン氏らが登壇。平和構築におけるジェンダー包摂の重要性が議論されました。
午後のセッションでは、非伝統的脅威やサイバー・ハイブリッド脅威に焦点をあて、英国、カナダ、NTTなど多様な立場の専門家が登壇。AIやサイバー攻撃など新たな課題に対し、国際協力の必要性が強調されました。
Day 2: 国際連携と次世代の役割
2日目は、駐日ノルウェー大使クリスティン・イグルム氏の開会挨拶に続き、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの外交官による「IP4地域パートナーとの対話」が行われました。インド太平洋におけるNATOの関与や協調の方向性が示され、日本との戦略的パートナーシップ強化が確認されました。
また、ウクライナ支援が取り上げられ、駐日ウクライナ大使館のセメニュク次席公使やJICAの外務専門家が登壇。ロシアの侵攻に直面する国際社会の連帯の重要性が語られました。
さらに、若者が登壇するユースパネルでは、東京大学やハーバード大学など国内外の学生が平和と安全保障の優先課題について発表。午後にはハイブリッド脅威対策の専門家による講義、NATO本部との円卓会議、政策シミュレーションと続き、次世代が安全保障の現場を体感する貴重な機会となりました。
本イベントは、NATOの活動を広く紹介するとともに、日本と北欧諸国、そして国際社会との協力を強化する場となりました。特に、平和構築におけるジェンダーや若者の役割、AI・サイバーといった新たな課題への国際的対応が浮き彫りとなり、参加者からは「安全保障をより身近な課題として考える契機になった」との声も寄せられました。
北欧パビリオンは、今後も「ノルディック・サークル~北欧と共に、より良い明日へ~」をテーマに、平和・人権・持続可能性に関する多様なイベントを開催していきます。