Nordic Architecture&Design Day「北欧と日本が描くウェルビーイングな都市デザイン」:イベントレポート

2025年10月2日(木)、大阪・関西万博会場内 北欧パビリオン3階のカンファレンスルームにて、「Nordic Architecture & Design Day -北欧と日本が描くウェルビーイングな都市デザイン」が開催されました。
本イベントは、北欧5カ国(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)が共同で実施する「Joint Nordic Event」シリーズの一環として行われたもので、北欧と日本が長年培ってきた建築・デザインの理念を基盤に、持続可能で人間中心の都市空間のあり方を多角的に探る一日となりました。
北欧5カ国と日本の建築・デザインの知恵が結集
開会にあたっては、デンマーク大使館の代表による挨拶に続き、隈研吾建築都市設計事務所の池口由紀氏による基調講演が行われました。
その後のセッションでは、「ウェルビーイング」「インクルージョン」「つながり」「帰属意識」「コラボレーション」といった多様なテーマを切り口に、北欧と日本それぞれの都市デザインの取り組みや課題、そして未来への展望が語られました。
北欧諸国は、持続可能性を重視した建築や地域コミュニティ形成において世界をリードしており、日本においても「居場所(Ibasho)」の概念など、人と人とのつながりを大切にする独自のデザイン文化が根付いています。本イベントでは、両地域の知見を融合し、都市における「信頼」「尊厳」「つながり」を再構築する可能性が活発に議論されました。
多彩な登壇者と国際的な視点
隈研吾建築都市設計事務所(Kengo Kuma & Associates)、Danish Architecture Center(DAC)、Rintala Eggertsson Architects、Studio Puisto Architects、Snøhetta、Gehl、Nikken Sekkei など、各国で都市と人の関係をデザインしてきた多彩な専門家が集い、それぞれの視点から都市の未来を語りました。日本でもプロジェクトを手掛ける建築事務所やデザイン事務所も多く、日本・北欧のデザインや文化を通した協業の可能性を探る一日にもなりました。
建築事務所だけではなく、都市の健康課題に取り組む「Cities for Better Health」や、コペンハーゲンの都市イノベーション・ハブ「BLOXHUB」など、国際的な連携事例も紹介され、持続可能な未来都市を実現するための建築・デザインの役割を具体的に共有しました。
建築・デザイン・自治体・産業界の架け橋として
本イベントには、建築・デザイン関係者のみならず、自治体、産業界、研究機関など多様な分野から参加者が集まりました。北欧と日本という異なる文化圏の知見を交わすことで、新たな都市のあり方を共に考える貴重な機会となりました。